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お話プロローグ1-2
2008-12-07 Sun 02:16
長いです。写真もないです。

いや、今回は何か写真でもつけようかと思ったんですが、ちょっとつけようが無くて文章のみになりました(爆

まぁ、眼によくないのであまり追記はクリックしない方向で(オイ

プロローグ1終わればそれなりに写真をつけられるんじゃないかと期待してます。ケータイが壊れつつあってそのあたりはまだ未知数ですがw

毎回写真付きのエントリをあげてらっしゃる他のブログの皆様が最近神々しく見えてきたorz


08.12.15  ちょこっと修正しました。

 財布にいくらも金のない貧相な男を痛めつけるほど、彼らも残酷ではなかったらしい。まだ痛むみぞおちを押さえながらふらふら歩く僕の姿は、きっと悲惨に見えるだろう。けれど、僕の生活は今までの人生の中では望むべくも無かったほど穏やかなものになりつつある。いずれは壊れてしまうのかもしれないし、経験上必ずそうなると分かっているけれど、少なくともそれが今日明日でないことは確かだと思える。

 シチューのにおいが僕の体中を満たした。孤児院の入り口で、思い切りにおいを吸い込む。この辺りの建物はどれもやたら壁が白い。砂埃で薄汚れるのは目に見えているのに。町外れにあるこの孤児院の壁もかつてはやはり白かっただろう。今では他の何倍も砂埃にまみれ続けてもはや茶色だ。

 ドアをあけると、たくさんの騒ぎ声が押し寄せてくる。
「セイフおかえりー」
 ただいま、イサベラ。英語の勉強はしていたかい?
「どうしたの?鼻血でてるよ?」
 しまった。血の味がしたのは唇を切っただけではなかったらしい。鼻の下に手をやってみると、乾いた血がぱらぱらと落ちた。

 なんでもないよ、ちょっと転んだんだ。
 イサベラは疑うような目をして、キッチンへと走っていった。おばさんに言いつけるんだろう。おばさんは喧嘩をするなといつも言っている。ただでさえひどい目にあってるっていうのに、どうしてまた家族や友達で喧嘩しなきゃならないんだい?それはそうだ。でも僕は仲間や友達がその必要さえあれば互いに裏切ることを知っている。

 7歳のイサベラは僕をアリやハーレドと同じに扱う。僕はまだこの孤児院に来て1年と少しで、歳も10歳以上離れているというのに。
「セイフ、ちょっといらっしゃい!」
僕を子供扱いするのはイサベラだけじゃなかったな。僕は少し笑っていた。ちょっと待っておばさん、部屋にバッグを置いてから行くよ!

 僕は他のみんなと違って独り部屋を持っていた。といっても、倉庫に使っていた1階のちいさな部屋を、おばさんが僕のために空けてくれただけだけれど。木箱を3つ並べただけのベッド、引き出しの3つ付いたサイドテーブル。あとは小さな格子のはまった窓とようやく歩けるくらいの隙間しかない。でも十分だった。この縦長の部屋は本当にかけがえがない。僕は今日も明日も明後日も、ここで眠ることができるんだ。

 部屋を出て、キッチンに向かいかけたけれど、振り向いて廊下の奥の洗面所に入った。曇って端が欠けた鏡に、無精髭に鼻血のカスをくっつけた貧相な顔が映る。油まみれの手を洗ってから、蛇口の水を手ですくって顔を洗い、口をゆすいだ。蛇口から出る水はあまり体に良くないらしい。金属のような、薬品のような味がするし、色も少し茶色く濁っていて、まずい。それでもやっと胃液の味から解放されて、多少だけれど、すっきりした。

 キッチンにつながるホールに入ると、ハーレドとアメルがVLをやっていた。VLとはヴァーチャルライトといって、ゴーグルに投影される映像を見ながらプレイするゲームだ。僕が来た年のクリスマスにハーレドをはじめ男の子たちがねだって買ってもらっていた。だいぶ古い型のものだったけど、ここではいまだに順番待ちの大人気。テーブルには電紙がひろげられ、ハナーンが赤ん坊のダリアをだっこしながらそれに向かっている。多分イサベラの宿題の答え合わせでもしているんだろう。彼女は顔を上げて僕に笑いかけた。
「おかえり、セイフ。イサベラが騒いでたけど、何かあったの?」
いいや、何にもないよ。腹ぺこだけどね。彼女はこの孤児院では僕の次に年長だ。17歳。ちょっとキッチンへ行ってくるよ。
「つまみ食いしちゃだめだからね」
おばさんの目の前でつまみ食いする度胸は僕にはないよ。ハナーンも僕も笑っていた。

 キッチンにはシチューのにおいが立ちこめていた。イサベラが僕の足下をささっとすり抜けていく。いたずらっ子の悪事を言いつけた後の気まずさ。僕もいたずらっ子のように見えるんだろうか。おばさんは夕食の準備をしている。
「セイフ、何があったんだい?ひどい目に合ったんじゃないだろうね?」
今日の夕食はシチューとサラダだ。いや、何でも無いんだよ。大丈夫。キュウリを切っていたナイフを流しに入れ、手を拭くとおばさんは僕に向き直った。
「無理はしないでおくれ。本当なら貴方はまだ休ませてあげたいんだけど」
大丈夫、充分休んでるよおばさん。親父さんが今月から給料少し上げてくれるってさ。
「アシュラフさんには感謝しなきゃならないね。セイフ、あなた欲しいものはない?」
突然そんなことを言われても困る。えーと、とりあえず、その鍋の中のシチューかな。おばさんは笑い出した。おなかが大きい分笑い声も大きい。
「はらぺこさん!心配しなくてもちゃんとシチューはあなたの分もあるわ。そうでなくて、何か好きなものを買いなさい。あんまり大きなものは無理だけれど」
困った。僕は何が欲しいんだろう。部屋もあるし、食べ物もある。着る服も一応ある。ここには必要なものはだいたい揃っている。僕の欲しいものは長い間、必要なもののことだった。ありがとう、じゃあ何か考えておくよ。おばさんはにっこり笑ってうなずくと、シチューが波打つような大声で言った。
「さぁみんなご飯だよ!!遊んでないで手伝いな!!」


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この記事のコメント
すいません本文とはまったく関係ない話しますww オイッ
えーとミクロマンは僕らの世代けっこうしってますよ
マグネパワーズがやっていたので
後リンクさせてもらってもよろしいでしょうか?
よろしくお願いします
2008-12-07 Sun 14:27 | URL | カメレオン #-[ 内容変更]
>カメレオンさん

ぜんぜん関係なくておkですよー。コメント頂けるだけでありがたいです。

ってマグパをリアルタイムで見てた訳ですか?あれたしか99年だからもう9年前ですよね?・・・すげぇww

こんだけ若い世代にまで覚えられてるんだから新商品出してよタカトミーーー。ほんとミクロを現行の10センチ素体で継続してくれたらマジで一生崇め奉る。

リンクですか、は、いや多分、いいんじゃないかと・・・いいよな?(聞くな
もう少し内容が軌道にのってから・・・とか思って一応各ブログ様にリンク貼らせてもらうのを遠慮してたんですが、、いつまでたっても軌道になんか乗りそうにないので(爆)
じゃぁお願いします。こちらでもリンクしておきますー。
2008-12-08 Mon 00:51 | URL | Edison #-[ 内容変更]
…続きは…?
ミクロマンって世代超えて愛されてるんですねぇ。いや、お二人
ともお若い!マグネバワーズ…そのころはボクシングに
明け暮れてましたね~懐かしいな…。このやっとありつけた
”暖かい今”に満足している気弱な男がミクロマンとどう関って
くるのか、楽しみにしてます♪
2008-12-10 Wed 21:58 | URL | 六畳一間 #WzzJX4NY[ 内容変更]
>六畳一間さん

コメントどうもありがとうございますー。ほんと世代超えてますよねー。まぁ・・・僕が若いと言えるかどうかは・・・別ですが(爆

ボクシングですかー。そういえば僕が中坊の頃流行って友達がよくジムに通ってました。まぁ僕は図書館で本と格闘してましたがwww

うーん続きはいつ公開できるか・・・いいかげん写真を付けたいんですけど必要なものがないので今いろいろ買いまくってるんですよ。
ちなみにこの男は後々やっかいです。ちなみにミクロマン自体とはほとんど関わっていきません(爆)
第一回でミクロマンの名前を出したのはメタ構造を気取ってみたりしただけですはい。

あまり期待せず気長に(←これ重要)待っていてください。これからもよろしくお願いしマース。
2008-12-10 Wed 23:18 | URL | Edison #-[ 内容変更]
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